ペインクリニック外科

生活を取り戻すための「痛みの専門治療」

「その痛み、我慢し続けていませんか?」

朝起きると腰が重く、仕事中に肩や首のコリがつらくなる。湿布や痛み止めでしのいできたが、改善しないまま数か月が過ぎた――。

痛みは、本人にしか分からないつらさがあります。そして検査で異常が見つからなければ、「年齢のせいかもしれない」と自分を納得させてしまうこともあるでしょう。

しかし、痛みには必ず原因があり、放置すれば悪化してしまうこともあります。

当院のペインクリニック外科は、そうした「慢性痛」や「原因不明の痛み」に対して、正確な診断と専門的な治療を提供する診療科です。早期の痛み緩和を目指し、日常生活を取り戻すためのサポートを行っています。お気軽に当院までご相談ください。

ペインクリニック外科とは?

痛みの診療は、単に「薬を出す」「安静にする」といった対応ではなく、痛みの背景にある原因を見極め、それに応じたアプローチを行うことが重要です。ペインクリニック外科では、整形外科的な疾患に加えて、神経の過敏性、血流障害、筋膜の癒着、自律神経の乱れなど、痛みを複雑化させる多くの要因を診断・評価し、治療に当たります。

このように、ペインクリニック外科は「痛みそのもの」にアプローチする専門科であり、症状の軽減だけでなく、患者様の生活の質(QOL)を高めることを目的としています。

当院のペインクリニック外科の特徴

痛みの原因の評価に基づく、個別対応のブロック注射

当院では、痛みの原因を正確に把握するため、まず丁寧な問診と診察を行います。症状の部位や性質、発症のきっかけ、生活への影響などを詳しく伺い、必要に応じてレントゲンや超音波などの画像検査を実施します。

こうした情報をもとに、患者様の状態に合わせた神経ブロック注射を選択し、治療方針をご提案します。初めてブロック注射を受ける方にも安心して治療に臨んでいただけるよう、ご納得のうえで施術を進めています。

超音波(エコー)を用いた施術でリスクを軽減

神経ブロック注射は、神経の近くに注射するため、正確な位置確認が求められます。当院では、超音波(エコー)を使用して神経や血管の位置を確認しながら施術を行うことで、リスクを抑えられるよう努めています。

早めの対応で、慢性化を防ぐ

痛みが長く続くと、脳が痛みを記憶してしまい、治療が難しくなる場合があります。当院では、痛みが慢性化する前の段階で、できるだけ早めに治療を開始することを大切にしています。

整形外科と連携して対応

整形外科に併設されていることで、診療科をまたいだ連携が取りやすく、症状に応じてペイン治療へスムーズに移行できます。

ペインクリニック外科の対象となる主な痛み

以下のような痛みにお悩みの方は、ペインクリニック外科の受診をおすすめします。

日常生活に支障が出ている痛みについて、お一人で抱え込まずに一度ご相談ください。

腰痛、ぎっくり腰後の痛み

長引く腰の重だるさや、急性のぎっくり腰が治まった後に残る違和感などに対し、神経ブロック注射やリハビリを組み合わせて治療します。

坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)や脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)によるしびれ

お尻から足にかけて走るような痛みやしびれが続く場合に、神経の圧迫を緩和するブロック注射などを行います。

変形性膝関節症・股関節症による関節の痛み

関節の変形による痛みに対して、神経ブロックや物理療法(温熱・電気刺激など)を用いて、筋肉の緊張と神経の過敏性を抑えます。必要に応じて、ハイドロリリース注射も検討します。

五十肩(肩関節周囲炎)、肩の可動域制限

肩が上がらない、回しにくいといった動きの制限には、筋膜や神経の過敏性を抑えるブロック注射とリハビリで対応します。

脊椎圧迫骨折後の痛み

骨折の治癒後も続く痛みに対して、神経の炎症や過敏性に働きかける注射、鎮痛薬の調整を行います。

慢性頭痛(片頭痛・緊張型頭痛など)

薬で改善しにくい慢性的な頭痛に対して、神経の過敏性を抑えるブロック注射や薬物療法を行うことがあります。

神経障害性疼痛(しんけいしょうがいせいとうつう)

神経が損傷したり、圧迫を受けたりすることで生じる痛みを「神経障害性疼痛」と呼びます。しびれや焼けるような痛み、チクチクするような不快感などが続くのが特徴で、一般的な痛み止めでは十分な効果が得られにくいことがあります。

当院では、以下のような神経障害性疼痛に対し、神経ブロック注射や薬物療法を中心とした治療を行っています。

  • 帯状疱疹後神経痛
    帯状疱疹の皮膚症状が治った後も、神経に沿ってピリピリとした痛みが続く状態です。長引くケースが多く、早めの治療が大切です。
  • 術後疼痛症候群(術後や骨折後に続く痛み)
    骨折や手術の治癒後に、痛みが残ったり、しびれが続いたりすることがあります。背景には、神経の過敏性や炎症が関係している場合もあり、症状に応じて神経ブロック注射や薬の調整を行います。

神経障害性疼痛は、痛みが慢性化しやすい傾向にあります。症状が続いている場合は、早めにご相談ください。

主な治療内容

患者様の症状や原因に応じて、以下のような治療法を組み合わせて治療しています。

神経ブロック注射

神経のまわりに局所麻酔薬を注射し、痛みの伝達を一時的に遮断します。

当院では、以下の神経ブロック注射に対応しています。必要に応じてエコー(超音波)で神経や血管の位置を確認しながら、慎重に行っています。治療は通常、1~2週間に1回のペースで実施し、合計で2回から7回ほどを目安に進めていきます。

(図)神経ブロック注射イメージ
頚椎神経根ブロック(けいついしんけいこんブロック)

頚椎(首の骨)から出る神経のまわりに麻酔薬を注入し、肩や腕に広がる痛みやしびれを軽減します。椎間板ヘルニアや頚椎症性神経根症などに対して行います。

肩甲骨上神経ブロック

肩の運動や痛みに関わる神経を一時的に遮断し、肩関節の痛みやこりを和らげます。五十肩や腱板損傷、肩こりがある方に適しています。

肩甲背神経ブロック(けんこうはいしんけいブロック)

肩甲骨の内側や背中の筋肉のこわばりを緩め、痛みを抑える目的で行います。頸肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)や胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)などが対象です。

腰部硬膜外ブロック

腰椎の神経が通る空間(硬膜外腔)に薬を注入することで、腰から足にかけての痛みやしびれを和らげます。坐骨神経痛や腰椎椎間板ヘルニアなどに用います。

仙骨硬膜外ブロック

仙骨(お尻の骨)から麻酔薬を注入し、骨盤や足の付け根などの痛みを軽減します。坐骨神経痛や腰椎椎間板ヘルニアなどに用います。

坐骨神経ブロック

臀部(お尻)から太もも、ふくらはぎまで走る太い神経に働きかけ、下肢の強い痛みを抑えるために使用します。坐骨神経痛や慢性神経障害性疼痛に対応しています。

ハイドロリリース注射(筋膜リリース)

筋膜と筋肉の癒着による痛みに対して、生理食塩水と麻酔薬を注入し、筋膜の滑りを改善します。首こりや肩こり、可動域制限などに対応しています。

薬物療法

薬物療法では、痛みの性質や原因に応じて、さまざまな種類の薬を使い分けます。たとえば、炎症を抑える消炎鎮痛薬、神経の興奮を抑える薬、血流を改善する薬、また、気分の落ち込みや不安などを軽減する作用をもつ薬などがあり、これらを組み合わせて処方します。

神経の痛みに対しては、抗うつ薬や抗てんかん薬が有効な場合もあり、症状に応じて慎重に選択しています。副作用のリスクにも配慮しながら、効果と安全性のバランスを見て調整しています。

リハビリテーション(理学療法)

当院のリハビリテーションでは、単なる運動療法にとどまらず、姿勢や歩行のクセの改善、関節の可動域の調整、体幹の安定性の向上など、再発防止に焦点を当てたアプローチを行っています。痛みがあるからといって安静にしすぎると、かえって筋力が低下し、さらなる痛みを引き起こすこともあります。そのため、痛みの原因となる筋肉や関節の状態を評価した上で、無理なく取り組める範囲からリハビリをスタートし、段階的に日常生活レベルの活動を目指していきます。リハビリは、単なる治療後のサポートではなく、痛みの治療の一部と考え、積極的に取り組んでいます。

生活習慣指導・セルフストレッチ

痛みの治療では、生活習慣の見直しも重要です。デスクワーク中心の生活では、姿勢の悪化や運動不足による筋肉の硬直が痛みの原因となることが少なくありません。座る姿勢を見直したり、適度な運動を日常に取り入れたりすることで、痛みの再発を予防できます。

当院では、患者様のライフスタイルに応じたセルフストレッチの方法も指導しています。簡単にできる運動を習慣にすることで、治療後の良い状態を維持しやすくなります。

ペインクリニック外科の受診の流れ

01

ご来院(予約優先 ※ご予約なしでも受診可能です)

整形外科と同様、予約がなくても受診いただけます。ブロック注射を希望される方は、問診票にご記入ください。

02

問診・検査

症状や治療歴を丁寧に伺い、必要に応じて画像検査(レントゲン・超音波検査など)を行います。

03

治療のご提案と実施

症状に応じて、注射・薬物療法・リハビリなどの選択肢をご説明し、ご納得いただいたうえで治療を進めていきます。なお、神経ブロック注射は、処置自体は数分ほどで終わります。ただし、注射の種類によっては、施術後に30分ほど院内で安静にしていただくことがあります。

ペインクリニック外科にかかる費用

当ペインクリニック外科で行う治療の多くは、健康保険の適用対象です。神経ブロック注射は、3割負担の場合おおよそ2,000~4,500円程度です。ただし、治療内容によって変動するので、詳細はお問い合わせください。

よくある質問

痛み止め(鎮痛薬)が効かない痛みにも対応できますか?
はい。薬で効果が得られにくい場合にも、注射やリハビリなどを組み合わせて対応しています
高齢者でも治療は受けられますか?
注射の痛みには個人差がありますが、細い針の使用など、できるだけ負担を軽減できるよう工夫しています。
神経ブロック注射は、痛いですか?
注射の痛みには個人差がありますが、細い針の使用など、できるだけ負担を軽減できるよう工夫しています。
ブロック注射に副作用やリスクはありますか?
神経ブロック注射には、出血や神経への影響などのリスクが伴います。
当院ではエコーを使って位置を確認し、慎重に行っています。

院長からのひと言

「もう少し早く相談すればよかった」とおっしゃる方が少なくありません。痛みが続いていると、どうしても我慢が習慣になってしまうことがありますが、それによって痛みが慢性化してしまうケースもあります。

当院では、痛みの性質や経過を丁寧に伺いながら、神経ブロック注射を含めた治療法をご提案しています。ブロック注射を初めて受ける方でも、不安なく治療を受けていただけるよう配慮しています。

痛みが強い方、長引いている方、これまで注射を試したことがない方も、ぜひお気軽にご相談ください。少しでも日常が楽になるよう、一緒に方法を探していきましょう。

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